社会

身の回りで活躍する動物型・昆虫型ロボット

最近は、ペット型ロボットを飼っているご家庭も多いことでしょう。架空のものも含め、様々な動物を注文できるのが特徴で、例えば犬の場合、好きな犬種を選んだり、大きさや被毛の色・パターンを指定したりすることができ、「我が家の一匹」を購入できます。それだけでなく、体はやわらかくて温もりがあり、なでればうれしそうな表情を見せ、しかればシュンとするというように、本物の犬にかなり近い機能を備えています。こうしたロボットが実現したのは、触覚センサーやヒーターを備えたやわらかい外装と従来の四つ足型ロボットをコンビファブで融合できるようになったからです。

癒やされるだけでもうれしいペット型ロボットですが、ロボットであることを生かし、AI、センシング、通信などの機能を搭載することで、ペットの域を超えた役割を果たしてもらおうというプロジェクトが官民で始まっています。その1つは、高齢者の介護です。AIにより高齢者の言葉を理解して動作を助ける、種々のセンサーにより高齢者のバイタルサインを常時収集・記録する、通信機能により緊急時には医師や家族に連絡するなど、生活全般を支えるペット型ロボットの開発が進められています。想定ユーザーの希望調査では、「肩をもんでくれるとうれしい」「スマホの機能をもたせられないか」といった意見が寄せられており、やわらかい「指」やフレキシブルなタッチパネルなどの要素技術の開発がポイントとなりそうです。

もう1つは、環境浄化用ノラ猫型ロボットの開発です。このロボットは街を徘徊し、ゴミを見つけると体内に取り込みます。取り込んだものを分解して得られるエネルギーと、太陽電池で動きます。ノラ猫を受け入れる家庭では、家庭ゴミも取り込みます。環境意識の高まりや流通の合理化などにより、街中や家庭のゴミはずいぶん減っていますが、減ったゴミも自動的に回収することで「ゴミゼロ社会」を目指すプロジェクトです。ノラ猫型ロボットの猫種や被毛の色などは地域住民の投票で決める、仕事を終えたノラ猫型ロボットは「たまり場」に集めてメンテナンスを行うなど、運用上の検討も進んでいます。このプロジェクトの先には、監視カメラを備え、街の防犯を担うノラ犬型ロボットのプロジェクトも構想されています。

一方、山形大学では、昆虫の能力をまねた昆虫型ロボットの開発を進めています。小さい昆虫を大型のロボットにすることで、人間のサイズに合った仕事をしてもらおうという発想です。例えば、バッタ型ロボットにソリをひかせる、フンコロガシ型ロボットに雪玉をつくらせて除雪するなど、雪国の暮らしを楽しく快適にすることが当面の目標ですが、開発を担当するT教授は、「バッタ型ロボットは跳躍力を生かして悪路でも素早く移動できるでしょうし、フンコロガシ型ロボットは岩をどけることもできるでしょう」と、災害対応への展開も視野に入れています。

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