医療

ゲル臓器による量子メスの位置合わせ

体の深部にあるがんの治療法として、「量子メス」が広く使われています。コンパクトな加速器で光の速さの70%まで加速した重粒子線を、患部にピンポイントにあてることでがん細胞を殺すもので、高い治療効果をあげています。ただし、患部以外に強い重粒子線があたると正常な細胞が傷ついてしまうため、患部を正確に狙って照射することが必要です。

そのために使われているのが、患者さんの臓器の3次元データからゲルでつくる臓器で、患部だけでなく血管などの位置も再現されています。患者さんに照射する前に、このゲル臓器でテスト照射を行って照射位置と照射条件を決定しているため、実際の治療の際に患部に正確に効果的に照射することができるのです。

ゲル臓器をつくる技術は、2030年に山形大学のコンビファブと医学部が共同で開発しました。ゲルを3Dプリンタで成形する技術に加え、重粒子線のダメージをほどよく受けて進路と照射部位を可視化できるような材料を見いだしたことで、位置合わせに使えるゲル臓器が実現したそうです。

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