カーライフ

一人乗り電気自動車「YAWARAKA」発売

2010年代から普及し始めた電気自動車は、それまでの内燃機関車にはなかった蓄電機能を持つため、移動手段にとどまらない役割を果たすようになりました。太陽光発電や風力発電などの変動が大きく分散した電源を有効活用するための蓄電設備として、地域の電力需給の安定化に貢献するようになったのです。

その一方で、カーシェアや地域のコミュニティバス運行がさかんになり、自動運転システムも発達したため、車は「一家に1台」の所有物ではなく、必要な人が必要な時に使う社会資源となりつつあります。自宅近くのカープールにある車を呼び出し、乗車して目的地に行き、そこで降りた後、車は最寄りのカープールに戻っていくという、究極のカーシェアも実現間近です。

そんな現代にぴったりの新車「YAWARAKA」がU社から発売されました。一人乗りで、車体は衝撃を吸収するプラスチック製。屋根には太陽電池が組み込まれており、車体には蓄電池が搭載されています。カープールは地域の蓄電設備となることが期待されていますから、これは当然とも言うべき機能ですが、どちらも軽く、フレキシブルなのが特徴です。

さらに、「YAWARAKA」には「災害時の備え」という機能が強化されています。例えば、シートカバーは、衣服になります。シートからはがし、手で切り取って広げるとTシャツに変身します。このTシャツは伸縮性に富んでおり、どんな体型の人にもフィットします。また、シートカバーの一部は、水を浄化するフィルターとなります。プラスチックの内装材は折りたたまれており、広げると水を溜めるタンクになります。

シートの詰め物は、燃料と食料になります。この機能は、体重のかかるシート内に燃料や食料を安全に収納し、必要なときにすぐに取り出せるパッキング技術の開発によって実装可能となりました。

U社の担当者は、「災害時には、道路も被害を受ける可能性があるので、悪路でも走れるようにタイヤをキャタピラーに変換したり、車高をあげたりする機能も搭載できないか、検討を進めている」と話しています。移動手段から社会資源へと変貌しつつある電気自動車。この先の進化に期待が高まります。

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